都市鉱山とは?眠る金属資源のリサイクルに見る課題

wanwei2025222025-06-21 13:33:01
  私たちの生活にはさまざまな資源が必要ですが、これは自然から得るものであり、決して無限というわけではありません。   そのため、私たちはリユースやリサイクルを心がけ、限られた資源をやりくりする必要があります。   そんな状況の中、注目されている考えが「都市鉱山」です。都市鉱山という言葉はよく聞きますが、どういう意味があるのでしょうか。   都市鉱山の意味や問題点などをご紹介します。   都市鉱山とは、都市でごみとして廃棄される大量の家電製品や工業製品の中に存在する、有用な金属資源を鉱山に見立てた表現です。   つまり、ごみとなった家電製品や工業製品の中から金属資源を取り出し、リサイクルすることで有効活用しよう、という考えだと言えます。   これは、1980年代に東北大学選鉱製錬研究所の南條道夫教授らが提唱したことが最初である、と考えられています。   そこから、廃棄された携帯電話やパソコンの部品から希少資源を回収するといった、取り組みが進められ、都市鉱山という概念は注目されています。   日本で都市鉱山が特に注目された時期は、2008年のことでした。   独立行政法人物質・材料研究機構から「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」と題するレポートが発表され、そこには日本の都市鉱山に存在する金の総量は6,800トンあり、それは全世界の現有埋蔵量の約16%にあたる、と指摘があったのです。   他にも、銀は60,000トンで、これは世界の埋蔵量の22%にもおよび、インジウムは世界の16%、錫は11%、タンタルは10%など。   参考:国立研究開発法人物質・材料研究機構 各種データ   家電製品や工業製品のひとつひとつに含まれる金属資源は、決して多いというわけではありませんが、総数を考えると大変な量となります。   そのため、私たちにとって都市鉱山と呼ばれる眠った金属資源を有効活用することが、大きな課題と言われているのです。   関連記事   都市鉱山には、具体的にどのような金属資源が眠っているのでしょうか。   私たちの身の回りで使われている家電製品を参考にしながら考えてみましょう。   金や銀は私たちが普段から使用する、多くのものに含まれている金属資源です。   例えば、LED照明の中に明るさを高める部品として、金や銀が利用されています。   他にも、テレビの液晶ディスプレイ用ドライバーICや携帯電話の内部に金が、赤外線を反射するガラスに使用される膜の材料として銀が使用されています。   家庭用の燃料電池は水素と酸素が反応して発電していますが、この電極部分の触媒として、白金や白金合金が使用されています。   他には、パソコンの中に含まれている、ハードディスクの磁性層にも白金合金が。   自動車や重機の排ガス浄化用触媒、プラントにも白金は仕様されています。   リチウムは、スマホのバッテリーとして活躍する、リチウムイオン電池に使用されています。   インジウムは薄型テレビ用液晶パネルの透明電極に使用されています。   スマホやテレビの普及率を考えると、どれだけの金属資源が眠っているのか想像しやすいのかもしれません。   都市鉱山の状況を聞くと、宝の山が埋まっているような印象を抱くかもしれませんが、そうとも言えません。   なぜなら、都市鉱山にはいくつか問題点や課題があるため、簡単にリサイクルできる、というわけではないからです。   まず、リサイクルによって金属資源を回収するために必要な、家電製品やスマートフォンといった廃棄物の回収率が低く、十分な量を確保できない、という問題があります。   他にも、分別や解体の作業にかかるコストは高く、金属資源を回収しても経済的に成り立たない、という点も挙げられます。   そのため、金属資源が含まれていたとしても、他の廃棄物と同様に焼却・埋立といった方法で処分されることも少なくありません。   さらに、技術的にも廃棄物から効率よく金属資源を回収することは困難であり、十分な量がリサイクルされていない、ということも。   これらの課題をクリアし、今後は廃棄物から多くの金属資源を回収し、リサイクルされることが望まれています。   関連記事   都市鉱山の問題が、これ以上深刻になることがないよう、私たちにできることはあるのでしょうか。   身近にできることは、3Rの徹底です。例えば、不用になった家電は捨てるのではなく、リユースする。円滑にリサイクルされるよう、ごみはしっかりと分別するなど。   簡単なことのようですが、徹底されていないことも事実です。   まずは難しく考えることなく、できることから始めてみましょう。   関連記事
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